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私たちのいる尾州産地は現在1年間で最も忙しい 最盛期 を迎えています。
ウールの産地なのでもともと秋冬物を得意としており、その年の秋冬の店頭に並ぶ服の生地は
4月から5月に生産が始まり、6月から8月お盆休み前に出荷、というケースが大半を占めます。
ところが一昨年、昨年はコロナの猛威により受注が激減、工場の稼働は火、水、木曜の3日間だけ!
なんて所も多々あり苦しい状況が続きました。
そんな尾州でしたがおかげさまで今年は受注も戻りつつあり、現在生産の真っ只中、土曜日も稼働
など久々の忙しさを取り戻しています。
今週は生産工程別に尾州の今!がわかる現状レポートをお届けしたいと思います。
尾州レポート① 原料(糸)
織物やニットの原料である糸背景はこれまでに
ない厳しい状況です。国内生産をやめ、ほとんど
を海外生産に移してしまったことの問題点が、
コロナ禍、ウクライナの戦争で露わになって
います。
<梳毛、合繊糸>
梳毛(ウールの細番手の糸)、最近の尾州の主力であるポリエステルとレーヨンの混紡糸などの
合繊糸は、海外生産が90%以上で中国やインドなどから調達しています。よって生産国および
流通ルート国のロックダウンなどの影響をもろに受け、手配はしているものの糸が入ってこない
状況が続いています。2-3月頃の先行き不透明さは脱していますが、特に梳毛は不足状態が続く
見込みです。
<紡毛糸>
紡毛糸(ウールの太番手の糸)は国内生産比率が高いのですが、糸の原料となるウールの綿(ワタ)は
輸入によるもので、海外情勢の影響を受けています。そしてウールの綿(ワタ)が調達できていたと
しても、糸にする紡績 が激減しており 紡績待ち の状態が続いています。現在発注した場合、ワタ
があっても糸になるのは8月以降、とも言われています。
尾州レポート② 糸染
糸染工場の状況は、大きな染色機は比較的空いて
いる所もありますが、小ロットの染色機は大変
込み合っています。
小ロットで何色も必要とするチェック柄などの
生産は要注意です。
メンズ生地の縮小、引き付けの生産など全体的に
以前より細かいロットでの生産を繰り返すように
なっていることも要因のひとつです。
尾州レポート③ 撚糸
3月-4月は撚糸工場が満杯で、撚糸にとても
時間がかかっていましたが、現在は撚糸スペース
を拡張された所もあり、込み具合は比較的緩和
されています。
特殊撚糸ものは工場も少なく、かわらず時間が
かかっています。
尾州レポート④ 織・編機
織の機場は、3月より込み始め、7月末頃まで
受注で埋まっているところが多いです。
特に組織ものが織れるドビー織機など特殊な織機
ほどスケジュールが埋まっています。
編機の方も人気の編機は集中しており、8月まで
受注で埋まっている機械もあります。
織、編ともに、そもそも機械に乗るまでの糸準備
が予定通りにすべてできるか、ということも
納期に差が出る大きなポイントとなっています。
尾州レポート⑤ 整理
整理工場だけではありませんが、コロナ禍中に
機械の入れ替え、工程、作業の効率化、スケール
ダウンなど様々な改革が行われました。
環境に優しくエネルギー効率の良い設備でパワー
アップした部分もありますが、統合や縮小による
生産能力と労力の不足が課題となり、4月から
込み合い、7月は大変な込み様になることが
懸念されています。
<後染>
コート地、ニットなど4月から込みあっているところもありますが、国内生産生機も遅れ気味、かつ
海外生機の入荷が遅れていることで、現在よりも今後の込み具合が危惧されています。
縮絨、起毛など工程の長い物は特に注意が必要です。
<先染>
3月末から込み始め4月以降は海外輸出が始まり、すでに8月お盆休みまで受注で埋まっています。
ウールや、ウール風など取り扱い商品の特徴から、もともと他産地と比較して整理工程が複雑で
長いのが尾州の整理の特徴です。フラノや圧縮などの縮絨系や起毛商品は、今後大変込み合うことが
予想されています。
尾州レポート、いかがでしたでしょうか?
不安要素は色々ありますが、それでも2年ぶりの注文にお応え
すべく、尾州産地はどの工場、工程もできる限りの対策を取り
全力で頑張っています!!